本記事は、地域課題解決DXコンソーシアム事務局(ファーストライト・キャピタル)が発行する「産業別DX状況と先進事例(活動報告書)」のサマリー版になります。
フルレポート(35ページ)は、最下部のフォームよりダウンロードいただけます。
– Overview –
古屋星斗氏がプロジェクトリーダーを務め、 2023年にリクルートワークス研究所から発表されたレポート「未来予測2040 労働供給制約社会がやってくる」では、さまざまな産業で労働需要と労働供給のギャップが深刻化することが指摘され、大きな反響を呼んだ。
地域課題解決 DXコンソーシアムの発足から、まもなく2年が経過するが、この数年間で労働需給ギャップは改善に向かっているのだろうか。
それとも、まだ多くの課題が残されているのだろうか。今後の展望や本コンソーシアムへの期待も含め、古屋氏の見解を伺った。

古屋 星斗氏 | 地域課題解決DXコンソーシアム アドバイザー
2011年一橋大学大学院社会学研究科 総合社会科学専攻修了。同年、経済産業省に入省。産業人材政策、法案作成、福島の復興・避難者の生活支援、政府成長戦略策定に携わる。2017年よりリクルートワークス研究所 主任研究員。労働市場分析、未来予測、若手育成、キャリア形成研究を専門とする。2024年には「『働き手不足1100万人』の衝撃」(プレジデント社)を刊行。地域課題解決DXコンソーシアムでは、アドバイザーとして設立式での基調講演をはじめ、各全体会の統括を務める。
─「未来予測2040」の発表から3年が経ち、労働供給制約の深刻度はどのように変わってきましたか?
現場での感覚が全てだと思いますが、人手不足感は変わっておらず、むしろ統計的にも悪化の方向に振れています。現業職の現場で「人手が余っている」という話を聞いたことが、この3年で一度もありません。
私がずっと問い続けてきたのは、「なぜ人口が減っているのに、これほど働き手が足りないのか」という逆説です。背景にあるのは、高齢独居世帯の急増です。人口が減っているにもかかわらず世帯数は増え続けており、医療・介護・物流といったエッセンシャルワーク領域へのニーズを押し上げています。
人口が減れば需要も減るはず、という常識が通用しない。それがこの逆説の核心です。
こうした変化を象徴する光景が各所で起きています。少子化が進んでいるのに保育士が不足し、介護福祉士がホテルへ転職し、電気設備の法定点検現場では半数をスポットワーカーが占める。価格転嫁できる業種では賃金が上がり人材が集まる一方、公定価格のもとで運営される領域では担い手の流出が止まらない。
この分岐こそが問題の本質です。人手という経営資源を確保できた企業が高単価の仕事を総取りし、確保できない企業は廃業へと追い込まれていく。
企業が人を選ぶのではなく、働き手が企業を選ぶ時代へと完全に転換しています。この「奇妙な人手不足」は、まだ始まったばかりだと感じています。
─地域企業へのDX浸透はまだ道半ばという実態があります。DX浸透の裾野がなかなか広がらない根本の課題をどのように捉えていますか?
生産性向上は期待したほどには起こっていないというのが正直なところです。
根本的な課題は、地域企業の多くが「事業」ではなく「生業」として営まれてきた点にあります。先祖代々受け継いだ仕事を、ご自身のアイデンティティとして誇りを持って続けてこられた方々です。
そこには、融資を受けてリスクを取り、投資によって生産性を上げていくという発想が生まれにくい構造があります。
しかし今、その前提が崩れています。30年続いたデフレが終わりインフレへ転換し、労働供給制約も同時に到来した。従業員の給料を上げられなければ人は離れ、事業継続そのものが危うくなる。「生業」のままでは立ち行かない局面が、静かに、しかし確実に迫っています。
加えて、今まさに経営者の大きな世代交代が起きています。後継者不足が深刻化するこのタイミングは、次の担い手が「事業」として再構築するチャンスでもある。そこにどう働きかけられるかが、地域 DX浸透の本質的な鍵だと感じています。
─地域企業のDX推進において、地域金融機関に期待される役割とは何でしょうか?
企業規模とDX投資額には、明確な正の相関があります。ある程度の企業規模がなければ DXへの投資は難しい。
ただし、一概に規模を追求すれば良いという訳でもありません。大企業ほど経済合理性を追い求め、地域から撤退するリスクが高まります。
重要なのは、地域ごとに「適切な企業規模」が異なるということです。製造業が強い地域では200~300人規模の企業を増やすことが有効かもしれませんが、一次産業やサービス業が中心の地域では、 50人規模の企業を着実に育てることの方が地域経済の維持につながります。
自分たちの地域の産業構造と強みを丁寧に棚卸しし、どの業種をどの規模で支えていくかを見極める。そこにこそ、地域金融機関ならではの戦略眼が問われます。
働き手をめぐる地域同士の競争はこれからさらに激しくなります。地域の産業戦略を共に描くパートナーになれるかどうかが、地域経済の行方を左右すると私は見ています。
─地域課題解決DXコンソーシアムの活動の発展に向けて、期待を聞かせてください。
環境の変化を好む生き物は存在しません。それでも新しい挑戦を始めようとしている方が、各業界で確実に出てきています。
挑戦者が直面する最大の壁は、孤独です。
新しいことに踏み出せば、周囲から後ろ指をさされることもある。だからこそ、挑戦しようとする人が一人ぼっちにならないための場として、このコンソーシアムが存在することに大きな意義があると思っています。
地域金融機関や変革を志す地域企業の経営者、スタートアップが出会い、仲間をつくり、励ましあいながら失敗を認め合い、新たな挑戦を続けていく。そういった挑戦の持続力をサポートし、後押しする場になることを期待しています。地域の変革は、志ある者たちの連帯から生まれます。
活動報告書(無償)のダウンロード及びディスクレーマー
下記のフォームをご提出いただくことで、活動報告書全体(35ページ)をダウンロードできます。
お預かりした個人情報の取扱いについて、次のように管理し保護に努めてまいります。この先続行することで下記に同意したものとします。
【個人情報の収集・利用・提供について】
お預かりした個人情報は、本レポートの送付、次回以降にリリースする弊社コンテンツのご案内、弊社メールマガジンの配信、弊社主催イベントへのご案内、投資候補企業又はLPの発掘・検討、お問い合わせ対応のために利用させていただきます。
【第三者への提供について】
お預かりした個人情報について、弊社以外の第三者に提供することは、ご本人様の同意がある場合又は法令に基づく場合を除きありません。
【個人情報保護方針】
個人情報取扱い管理の詳細については、以下のリンクを参照してください。
ファーストライト・キャピタル株式会社
全体構成・執筆
地域課題解決DXコンソーシアム 事務局
プリンシパル 真島 里帆
チーフ・アナリスト 早船 明夫
企画・監修
代表取締役 マネージング・パートナー 岩澤 脩
製作協力
インターン 増永 和佳
デザイン
青松 基(sukku)
有識者インタビュー協力
地域課題解決DXコンソーシアム アドバイザー 古屋 星斗 氏
ファーストライト・キャピタルでは、所属するベンチャーキャピタリスト、スペシャリストによる国内外のスタートアップトレンド、実体験にもとづく実践的なコンテンツを定期的に配信しています。コンテンツに関するご質問やベンチャーキャピタリストへのご相談、取材等のご依頼はCONTACTページからご連絡ください。
ファーストライト・キャピタルのSNSアカウントのフォローはこちらから!