豊富な独自データや市場分析を基に、2023年のSaaS市場の概況やトレンドをまとめた年次レポート「SaaS Annual Report 2023 – 2024」をリリースいたしました。
弊社は2018年のファンド創設以来、SaaS、サブスクリプションモデルのスタートアップを中心に、これまでメディア、IoT、メタバースと領域を拡大しながら、投資活動を行ってまいりました。
今回の年次レポートでは、世界最速で人口減少社会に突入している日本の「人手不足」という社会課題にも焦点を当て、レガシー産業の生産性向上を実現するバーティカルSaaSや注目のテーマ・トレンドをお届けいたします。
「SaaS Annual Report 2023 – 2024」を刊行
「SaaS Annual Report 2023 – 2024」は以下のレポートサマリー版の最下部よりメールアドレスなどをご登録いただきますとダウンロードが可能となります。
Annual Report サマリー版
https://firstlight-cap.com/insights/industries/report-2023/
発刊に寄せて
■ ファーストライト・キャピタル 代表取締役 マネージング・パートナー 岩澤 脩
2024年、上場トップSaaS企業のARR(サブスクリプション売上)が300億円を超えました。バリュエーション水準の低迷により、多くの投資家がSaaS投資から去りましたが、ファンダメンタルはさらなる強さを示し、日本のSaaSは既にひとつの産業として確立したといっても過言ではありません。
成長を牽引した要因は、「複数プロダクト化」と「エンタープライズ・中小企業への販売拡大」です。 複数プロダクト化の強化を目指す上位SaaS企業は積極的なM&Aを仕掛け、2023年のM&Aの件数は過去最大となりました。
エンタープライズ領域では、カスタマイズ前提のERPやコンサルティングサービスも包含するBPaaS(Business Process as a Service)など、より労働集約なソリューションを提供し高単価の大手顧客ニーズに対応する動きも活発化しています。
また、米国のタイムマシン経営ではなく、日本独自の社会課題を解決するバーティカルSaaSが増えていることにも注目しています。
世界最速で人口減少社会に突入している日本、私たちの生活を支えてきた建設・製造業・物流などのレガシー産業における人手不足が社会課題となっています。
「労働人口を増やすか」、「一人当たりの生産性を上げるか」の二択に迫られる中、レガシー産業の生産性向上を実現するバーティカルSaaSへの期待値はより一層高くなっているのではないでしょうか。
本レポートは、SaaS市場の最新データをまとめた 「Overview」、成長著しいバーティカルSaaSの成長要因について分析する「Vertical SaaS」、人口減少社会における注目テーマについて掘り下げる「Depopulating Society」の3部構成としています。
新たなテーマも提示した本レポートを多くの方にご覧いただきたいと思います。
■ ファーストライト・キャピタル チーフアナリスト 早船 明夫
私がSaaS企業に対してカバレッジをはじめたのは2020年初のことです。
当時、ARR100億円に到達していた企業はSansanのみでしたが、そこから4年が経過した現在では、ARRは300億円台の水準に。そして、T2D3と呼ばれるような急速な成長を遂げる企業も複数社誕生するなど、SaaSスタートアップは私たちの想像を超えて拡大を続けています。
これまでは「ホワイトワーカー向け×SMB」を中心として広まりを見せたSaaSですが、製造業や建設業と言った基幹産業、そして、都市圏においては大企業やグローバルマーケットをターゲットとするスタートアップが出ていることも業界の成熟と捉えられるのではないでしょうか。
このような、当初からは想像できなかった成長がもたらされたことは驚きであるとともに、情報を発信する喜びでもあります。
2023年のSaaSを振り返りつつ、2024年の新たな萌芽をキャッチするための情報源として本レポートをご活用いただけますと幸いです。