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【Thinka short report】ターゲティング:初期ユーザーの選定・顧客との共創

2022.09.20

成長支援

【Thinka short report】ターゲティング:初期ユーザーの選定・顧客との共創

ファーストライトが運営する起業家のためのソーシャルクラブ「Thinka」

ゲストにFORCASの執行役員Revenue担当として、SMB~Enterprise領域のSales/CSを管掌する吉田佑弥氏を迎え、「開発クオリティ・スピードを向上させるエンジニア組織の在り方」というテーマにてトークセッションを実施した。

PMF前の段階にあるスタートアップにとって、初期ターゲットをいかに定め、開発のPDCAに活かしていくのか、そしてその後初期ユーザーとどのように共創関係を築くべきかは、最重要のテーマである。

多くの企業のターゲティングを支援し、またターゲティングの成功によって大きく事業成長を遂げたFORCASでの実体験を踏まえ、吉田氏に見解を伺った。本稿ではそのサマリーをお届けします。

ターゲットの選定について

ーー初期ターゲットをどのくらい具体的に・細かく絞り込むべきか?

初期フェーズにおいては「狭く深く特定する」ことが事業の立ち上げの鍵。バイネームで抽出できるレベルまで具体化させる。

ターゲットは「絞る」のではなく「特定」する。ターゲットへの戦略的な深耕と、ターゲット外から新マーケットを拡張することを両面で実行すべき。

まずは自社が提供できる価値(便益×独自性)で解決できる課題が最も大きい顧客層を見つける。
その一方で、選定したターゲット以外にはアプローチしないのではなく、問い合わせがあれば積極的に提案を行い、新たな顧客層を開拓することも同時に目指す。

ーーセグメンテーション/ターゲティングの切り方は?どのくらい細かく設定すればいいの?

ペルソナを3つ程度に留めると検証がしやすい。
ターゲットの数を限定し、チームの主力をそこに充てる。その際、必ずターゲットはバイネームで抽出できるまで落とし込むこと。

ーー課題の深さと市場の規模、どちらを優先してターゲティングするべきか?

課題の深さ。「小さな独占をどれだけ作れるか」にこだわり、最初の10人が熱狂的に欲しがるサービスをつくる。

熱狂的なファンを作ることで、単価も上げやすくなる。小さな市場の独占により業績を積み、事例を積み重ねながら市場を広げていく。

ーーどのくらいのフェーズからターゲットを特定するべきか?

どのフェーズにあったとしてもターゲットは狭く特定すべき。

ターゲットを細かく特定するからこそ施策の是非に関するジャッジメントができ、一つひとつの施策に再現性を持たせることができる。

ターゲットへのアプローチ方法

ーー実際にターゲット選定ができた後にどのように各社にアプローチをすればいいのか?

WHO(ターゲット)とWHAT(訴求軸)を明確に言語化し、周囲のネットワークを活用しながら「最小コストで有効なリードにたどり着くアウトバウンド戦略」を実現する。

【FORCASにおけるWHO×WHY×HOW】
WHO:Salesforce導入しているSaaSベンダー企業
WHAT:最先端のマーケツールを使いこなし、最速で効率的に売上を上げる
HOW:SNS、急成長SaaSユーザー登壇セミナー、SaaS企業向けのSF活用の支援のウェビナー

ーーターゲットに対する有効なアプローチ方法とは?

初期は周囲のネットワークをひたすら活用し、コストをかけずに顧客を取りに行く。

届けたいターゲットと届けたい価値を明確にし、それを周囲に発信することで、ターゲットに繋いでもらう可能性を高めることができる。
最初に人的コストをかけて勝ち筋(ここに行ったら売れるという蓋然性)を確かめてから、コストをかけたアプローチ(広告・展示会)に着手する

ユーザーとの共創関係の構築について

ーーユーザーとの共創関係はどのように構築するべきか?

物理的に可能な限り深く関わる中で、ユーザーを観察し要望を反映し続け、サービスを「共に創る」。

初期のターゲット顧客はサービスを購入してくる人というよりサービスを共に創るパートナー。
何度も現場に通い、ディスカッションを重ね、ネガティブなフィードバックを大量にもらい、こちらも臆さず意見を投げかけ合う。

要望にスピーディに応え、顧客の成功まで伴走し続けるという、顧客が「自社の一員」になっており、周囲の人に薦めている状態を実現することが理想。

ーーユーザーとどのくらい深くかかわるべき?

物理的に可能な限り深く。同じ空間を共有し、ユーザーが実際にどうサービスを使っているかのリアルな動きとその時の感情を見る。

規模としては設定したペルソナにぴったり重なり、イノベーターとなりえるユーザー10名程度に対して、深く入り込む。

ーー深い共創関係を構築するユーザーに対して、その後も良好な関係を続けるためにすべきことは?

ビジョンを語ること。「誰しもが使うサービスを開発し、世の中をよくしたい」という思いを伝えたうえで、初期ユーザーの要望に応え続ける。


編集:鈴木 梨里 | ファーストライト・キャピタル インターン
2022.09.20

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